Cut-Rate. Special Feature
The Young Guns
CUTRATE SPRING / SUMMER
オリバー・ジョーンズ率いる「CUTRATE」の2017年春夏シーズンがいよいよスタート。今季はバイクをはじめ、スケートやパンクといったテイストを積極的に取り入れ、よりストリート色の濃いコレクションを発表。時流を捉え、新たなスタイルを打ち出す「CUTRATE」について、デザイナーのオリバーに話を聞いた。

The Young Guns

Interview with Oliver Jones
—まず今シーズンのテーマを教えてください。
80年代後半のスケートカルチャーと現代のスケート、バイク、音楽のクロスオーバーをメインテーマにしてるよ。
—オリバーが今季手掛けたグラフィックデザインにも、そのテーマを落とし込んでいる?
そうだね。87年〜93年代の当時好きだったブランドのグラフィックデザインをサンプリングしたりもしたね。
—その当時オリバーは何歳くらい?
その当時は10〜16歳くらいかな。音楽やスケートカルチャーを最も体現してる時期だったね。80年代後半と90年代初頭がミックスされていた時代に一番影響を受けたんだ。
—具体的にどのブランドが好きだった?
ステューシーも好きだったけど、1番好きなのはスラッシャーだったね。
—今季のアイテムデザインは、当時のスラッシャーのデザインをベースにしたものもあるのかな?
当時のスケート雑誌を引っ張り出してきて、現代のスタイルに落とし込んだ。良いデザインは何年経っても良い。
—音楽からは、なにかインスピレーションは得た?
音楽はダンス系、レイブ系(DJ、テクノ)。その辺からハマっていったね。雑誌のスラッシャーに載っていたロックとかも。スケートと繋がるのは、やっぱりロックだったよね。
—当時のスケートシーンが盛り上がっていたのは、オリバーの話を聞いて分かったのですが、今のスケートシーンについてどう思う?
いまスケートシーンはすごく盛り上がってる。西海岸はやっぱりスケートコミュニティが強いし、カルチャーが根付いている。当時オレが憧れていたプロスケーター達もまだまだ沢山いるし、パーティで仲良くなったりもするよ。
—今ではレジェンドと呼ばれている人だよね?
レジェンドだけじゃなく、同年代でもすごいヤツはたくさんいるよ。ルームメイトにナイキSBのボビーもいるし。
—若い世代のスケーターはどう?
若い連中も勢いがあって面白いんだ。やっぱりスケート=西海岸。こっちにいると、やっぱりスケート色の強さはすごく感じるよ。
—西海岸のスケーターは、オリバーみたいにバイクとも密接な関係にあるの?
西海岸ではスケーターもバイクをいじる人が多いね。昔の人も、今の人もバイクを好きな人は多いよ。それが一種のカルチャーなのかもしれないね。
—今季のデザインにもバイクテイストはしっかりと落とし込んいるように感じるけど、やはり欠かせないもの?
バイクのテイストはもちろん混ぜてる。今回は洋服だけを見ると少なく感じるかもね。バイクテイストは30%くらいじゃないかな。
—30%の割合だといつもより、少なく感じるけど何か理由はあるの?
LAの若い世代には、80年代スタイルが再燃してるんだ。ステューシー、アディダスなんかもトレンドのひとつ。だから今季はスケートと音楽を中心としたストリートカルチャーをデザインの軸にしようと思ったんだ。
—どのアイテムがそれに当てはまる?
コーチジャケット、クレイジーパターンネルシャツ、袖プリント、バケットハットなんかがそうかな。革紐のネックレスやビーズ系のネックレスは当時自分でも手作りしてから、コレクションラインナップには必ず加えたいと思ったね。当時は本当によく作ってた。
—オリバーが作る、今後バイクについても教えて。
今は「FXR」を手掛けていて、同時にパンヘッドも作ってるよ。
—今回の「FXR」はどんなイメージで作っているの?
「ブラックポリス(悪い警察)」がイメージ。オールブラックのポリスバイクで、すごく速いんだ。
—カラーはやっぱりブラック?
そう。ブラックはいつも通りのテーマカラーだけど、今回はマッドマックスのような黒。やっぱりブラックが好きだね。
—最後にデザイナーとして、今後の展望を教えてください。
次回のコレクションでは、オレが好きなブラックだけを使ったスペシャルラインを予定しているよ。
—それは良いことを聞きました。そのスペシャルラインナップの様相をもう少し教えて。
オーケー。秋冬コレクションにプラスしてオレがやりたい、作りたい洋服でのラインナップになると思う。Wネームや共同企画、ハマっているものを中心にブラックだけの洋服とかだね。
—それは楽しみですね
そう言ってもらえると嬉しいね。乞うご期待ってところだね。
—先ほどハマっているものを中心にと話に出ましたが、今ハマっているものはあるのですか?
今ハマっているものは特に無いんだけど、筋トレと久しぶりに自転車をやりたいと思っているよ。ただ、今年は本当に良い洋服を作りたいと思ってる。いつも通りバイクはやるけど、作品として考えたい。そういう意味では、今はストリート熱が強いかもね。
—ストリート熱ですか?
オレが体験してきた様々なストリートカルチャーをミックスさせて、西海岸から日本のストリートカルチャーに新たな息吹を送り込む。そうして、日本でのストリートシーンをカットレイトというフィルターを通して築いていきたいと思う。それは、オレを育ててくれたストリートカルチャーに対する恩返しという意味もあるかもね。
—オリバーの感性から生み出されるモノ、すべてにストリートカルチャーというバックボーンが存在している意味が分かった気がします。インタヴューに付き合っていただいてありがとうございました。 
What is the theme for this season?
– This season’s theme is based on the late 80s skate, motorcycle and music culture.
So I see you have incorporated those themes into the design for this season.
-Yes. I took inspiration from brands I was inspired by from 87-93.
How old were you then?
-I was about 10-16 years old. Skate and music culture was all I could think about. The late 80s was a melting pot of culture
What was your favorite brand?
-Stussy was one of my favorites but thrasher’s gear was my favorite.
So you took inspiration from thrasher this time right?
– I was going through old magazines. Good design is good design.
What about musical inspiration?
-Underground dance music interested me when I was a teenager. And of course rock and hip hop in thrasher magazine. Skate and rock kind of go together.
I understand that the skate scene was popping but what do you think about the skate scene nowadays?
-The skate scene is as popular as ever in California. Skate boarding’s roots are based here. There are so many pros around here you see them at every party.
Wow. Are they considered legends?
-Not just legends. There are tons of new comers that are killing it.
What do you think of the young generation?
– They are rad. When you think of the west coast, you think of skateboarding.
You are into both skateboarding and motorcycles, how about the other skaters on the west coast?
-On the west coast, a lot of skaters fucks with bikes too. The motorcycle enthusiasts are of all ages. It’s a culture.
I see you have incorporated bike flavor into some of the designs. Is that crucial to you?
-Of course I always include bike flavor. When you see the collection this time you will notice a little less though. I would say 30%.
30% seems little less than normal. Why is that?
-Right now in LA, there is an 80s street revival going on with teens including adidas and stussy so I wanted to focus on that era specifically.
What items are your favorite?
-Coach jacket, crazy pattern flannel, sleeve print, bucket hat. Back in the day I used to make beaded necklaces so I wanted to incorporate that into this collection.
Tell me about the bikes you’re going to build next.
-Right now I’m working on a “FXR”. Also a panhead chopper.
What style are you building the “FXR” in?
-“Black police” its going to be all black and stupid fast.
Of course all black right?
-Hell yeah I always build black bikes but this time it has a little mad max flavor.
Lastly, let us know your up coming plans as a clothing designer.
-I’m planning to incorporate special all black line up within the collection.
That would be badass. Tell us more about it.
-Ok. It will be similar to a normal aw collection plus the special line that I really want to make and get done. I’m thinking about collaborating with some of my talented friends and of course my favorite color, Black.
I can’t wait to see this collection.
-I’m glad to hear that. Just wait and see.
You said you get inspiration from things that you are involved with, for example?
-Nothing out of the ordinary but I have been thinking about lifting weights and riding bicycles. This time I’m thinking about the collection a lot and bikes of course. Therefor the collection has a street vibe.
Street vibe?
-I just want to mix the influence of different cultures into one cohesive collection. I hope that can influence Japanese street scene as well. That means I’m thankful for having grown up in that.
I can see how Oliver’s sense and style come from street background. Thank you for taking the time to talk with us.
トニー・アルヴァのスケートデッキは、2000年頃にデットストックで購入。「アルヴァのチームが好きだったんだ。みんな革ジャンを着ていて、ルックスが最高にイケてた。もちろんスケーティングも刺激的だったね。そのパンクスな雰囲気がマジでカッコ良かったね」。VHSには、当時のオリバーがスケートするシーンが収録されている。
80年代初頭から中頃、東海岸の海沿いにはスケートパークが存在し、当時のスケーターをはじめサーファーらが集う人気スポットがあった。これらのTシャツは、その近郊にあった1軒のバーで購入したもの。店舗オリジナルからT&Cカンパニー、トニー・ホークまで当時オリバーがよく着用していた思い出深いひと品。


ファンク、ディスコ、ニューウェーブ、ロック、メタルなど70年代後半から80年代中盤にかけてリリースされたレコード。デザインをイメージするときに欠かせない。「ロックだけじゃなく、いろいろな音楽をコンスタントに聴くよ。とくにザ デッド ミルクメンの『Eat Your Paisley!』(左下)は、発売当初から今も聴き続けてる。当時、東海岸のスケーターがみんなハマった名盤だよね」
映画とライブの極レアポスターは80年代中盤の物。映画『ニューヨーク1997』のフランス版ポスター(左上)は「サントラが相当ヤバイし、メインキャラの雰囲気が最高」。右は大阪のS.O.B、横浜のシステマティックデスのツアーポスター。下段は15年ほど前に日本で購入したG.I.S.M.のアルバムに付属した差し込みポスター。「洋服のデザインにも影響しているし、人生のインスピレーションを得ているよ」


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